デジタルカメラ きれいにぼかすには

かっこよく写真を写すには、ぼかしは必須。ここでは、ピントが合っていない部分をきれいにぼかすためのテクニックを載せています。コンパクトデジタルカメラでもきれいにぼかすことが。

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きれいにぼかすには

 
 

アクセサリー雑誌や料理雑誌などには、おしゃれな写真が多く、私も参考にするためにしばしば本屋に立ち寄ったときは必ず目を通すことにしています。
おそらく写真・カメラ雑誌よりこれらの雑誌を参考にすることの方が多いほど。

手前にピントが合っているこうした雑誌にはアクセサリーや、食べ物の写真が数多く載っていますが、たいてい被写体となるアクセサリー、食べ物以外の部分がきれいにぼやけよりいっそう被写体を引き立ててくれている事がわかります。
左の写真を見てください。
手前のリンクはピントが合っていますが、他の部分がぼやけているためリングがより強調されて表現できているのがわかると思います。

さて、こうした「ぼかし」は、実は一眼レフカメラでないとなかなかうまく実現できません。

撮像素子の大きさに

まず一眼レフカメラと、普通のデジタルカメラ(コンパクトデジタルカメラ)の大きな違いの1つは、「撮像素子」の大きさにあります。
撮像素子とは、いわゆるCCDといった光を受信してデジタル信号に変える部分ですね。
センサーと呼ばれたりします。
また、CCD方式以外にもCMOS方式といった違いもありますが、ようはレンズから入ってきた光が当たる部分です。
フイルムカメラでいう、フイルムに当たります。
※CCDとCMOSについてはこちらを「CCDとCMOS 撮像素子 とは

で、この撮像素子。一眼レフカメラに使われているものはAPS-Cサイズ(23.4mm×16.7mm)のようです。

に対して、コンパクトデジタルカメラの場合は、1/1.8型(7.5mm×5mm)や1/2.5型(6mm×4.3mm)が主流のようです。

APS-Cサイズと1/1.8型の面積比を見てみると、
23.4mm × 16.7mm = 390.78ミリ㎡
7.5mm × 5mm = 37.5ミリ㎡
390.78 ÷ 37.5 = 10.4208倍
つまり、コンパクトデジタルカメラの撮像素子の大きさは、一眼レフカメラの1/10しかないと。
またこの場合、撮像素子上の被写体の大きさも、10分の1になります。

このときぼかしは、大きさの比率の二乗になってくるので、ぼかしやすさ(?)は一眼レフカメラの方が10 × 10 = 100 と、100倍になるわけです。

このようにきれいに背景をぼかしたい写真を撮りたい場合は、一眼レフカメラの方が断然有利です。
逆を返せば、普通のデジタルカメラはピントが多少ずれていてもくっきり写るため、より初心者向けになるとは思いますが。

F値による違い

このF値によるぼかしですが、やはり一眼レフカメラの方が有利です。
この説明をする前に、実際の画像からF値の違いによるぼかしの違いについてみてみます。

例1

F5.6で撮影左の画像は、F5.6で撮影したものです。
ビン、コルク共にピントが合っているのがわかると思います。
実際には、コルクの手前部分にピントを合わせています。

F1.8で撮影こちらは、F1.8で撮影したものです。
同じようにコルクの手前にピントを合わせたものですが、コルクの手前以外ぼやけているのがわかると思います。

例2

F5.6今度は被写体のビンを寝かせてみました。
こちらはF5.6で撮影したものです。
やはりコルクとビンにピントが合っているのがわかると思います。

F1.8こちらはF1.8で撮影したものです。
ピントが合っている部分がぐっと狭くなって、ビンの奥がきれいにぼやけているのがわかると思います。
また、F5.6では下に敷いてある床の材質感まで判別できましたが、こちらはサッパリわからないぐらいぼやけていますね。

この2例からわかる通り、F値が小さければ小さいほど、よりピント合わせがシビア、つまりピントが合っていない部分がきれいにぼけてくれます

こうした小物を撮影するには、F値が1.8程度の35~50mmのレンズが向いています。
が、まずコンパクトデジタルカメラでこれほどF値が小さいものはありません。
つまり、撮像素子がより大きく、F値の小さいレンズをつけることが出来る一眼レフカメラの方が、よりぼかしやすいということになります。

ちなみに私の場合、一眼レフカメラ Nikon D70 に「AF NIKKOR 50mm F1.8」レンズをつけて使用しています。

望遠による違い

コンパクトデジタルカメラで撮影では、一眼レフカメラではないコンパクトデジタルカメラではきれいにぼかすのは不可能なのでしょうか?

いや、ちょっとしたテクニックを使うときれいにぼかすことが出来ます。
左の画像は、コンパクトデジタルカメラcoolpix 885で撮影したものですが、F4.9という値にもかかわらずきれいにぼやけていますよね。

そう、実は撮像素子の大きさやF値以外にももう一つぼかしに大きく関わってくる要素があります。
それが望遠です。
望遠レンズを使うとわかるのですが、ピントがよりシビアになります。
そこでコンパクトデジタルカメラで、きれいにぼかすには望遠(ただし光学による倍率のみ有効)にして撮影すると、この携帯電話のようにピントが合っていない部分をきれいにぼかすことが出来ます。

ここで重要なのが、デジタルズームではなく、光学ズームによる望遠でないと意味がありません。
デジタルズームは、単に取り込んだ光をデジタルで拡大しているだけにしかすぎません。つまり、コピー機でいう150%拡大コピーとかと同じですね。
この場合、ぼけていない画像を単に大きくするだけなので意味がありません。
なので光学○倍ズームとカタログに記載されているカメラでしか使用できませんが、この手法を使うと簡単にぼかしをかけられます。

では、実際にどれくらいの差があるのか実例で見てみます。
F値を「5.6」に統一して、望遠レンズによってどう違って写るのでしょうか。

例1

50mmレンズF5.6で撮影左の画像は、50mmレンズのF5.6で撮影したものです。
だいたい1.5cmの部分から3.5cmの2.0cmぐらいにピントが合っています。

135mmレンズF5.6で撮影今度は135mmの望遠レンズで撮影したものです。数値が大きければ大きいほど望遠になります。
この違いについては、別項で説明します。
こちらは、3.0cmあたりから4.0cmまでの1.0cmぐらいにピントが合っています。
つまり、だいたいピントが合っている部分が2分の1になってしまったわけです。

よりきれいにぼかすには

以上の結果により、一眼レフカメラがこうしたきれいにぼかすためには確実に有利ということがわかったと思います。
また、望遠にすることによってコンパクトデジタルカメラでも多少強めにぼかすことが出来るとわかったと思います。

さらにいうと、多少背景が散らかっていても、ぼかしでごまかせるという裏技(?)も・・・。(笑

ぼかしを使った作品の紹介

私の作品の中でも、ぼかしを使って被写体を引き立てている作品を載せておきます。
以下は全てNikon AF Nikkor 50mm F1.8 で撮影したものです。

麦茶麦茶。
夏っぽさをイメージした写真を用意するために撮影。

保湿剤被写体としては向いていませんが、保湿用クリームを撮影。
こうした普通なら被写体になり得ないようなものでも、ぼかしがかかっているとそれなりにクールに見えてしまうのもぼかしの特徴です。

サイダー水サイダー水。
ビンの中の空気の縁にピントが合っています。

オークションに出品する場合も、掲載する写真の善し悪しで落札金額が変わってきたり・・・!?