一眼レフデジカメとハイビジョンビデオカメラ
以前、コンパクトカメラ vs 一眼レフという記事を書きました。
最近コンパクトデジタルカメラにしろ、一眼レフデジタルカメラにしろ、性能の向上に反して値段が下落しているので、購入する我々の方としてはうれしい限りなのですが、そこで迷うのがいったいどのカメラを購入した方がいいのか。ということ。
値段最優先にするのであればコンパクトデジタルカメラでしょうし、画質重視であれば一眼レフデジタルカメラでしょうし・・・。
で、最近この二つだけだった争い(?)に、別の商品が勢力を拡大してきました。
それがハイビジョンデジタルカメラです。
ハイビジョンビデオカメラの進歩
ハイビジョンビデオカメラに対して、今までの既存のビデオカメラのことをスタンダードビデオカメラ、略してSDとかスタンダードとか呼ばれるようです。
私もスタンダードビデオカメラは持っていたのですが、携帯やデジタルカメラに付いている動画撮影機能に比べれば圧倒的にきれいなものの、その画質には満足いくレベルではありませんでした。
ところが!
ハイビジョンビデオカメラで撮影した映像を近所の電気機器量販店で見てからは、もうなんとしてもあの画質を手に入れたい・・・と。
それぐらい衝撃的な画質でした。
聞けば、ハイビジョンビデオカメラとはスタンダードビデオカメラの4倍の情報量を実現した技術らしく、業務用カメラに匹敵する高画質を手のひらサイズに実現してしまったんだとか。
それもこれも、MPEGという映像圧縮技術の存在によるものらしいです。
ハイビジョンビデオカメラで撮影した画像と比較
実際にハイビジョンビデオカメラで撮影してみればわかるのですが、イメージ的には400万画素のデジタルカメラの画質のまま動く感じ。(笑)
ちなみに、今までのスタンダードカメラを同じような表現でいえば、100万画素程度の携帯のカメラの画質のまま動く感じです。
そこで今回は、私の持っている一眼レフデジタルカメラ Nikon D70と、ハイビジョンビデオカメラ Sony HDR-HC3を使って同じ物を同じ条件で撮影し、比較してみました。
ただし、それぞれレンズの焦点距離やカメラ自体の大きさが違うので、見え方や角度は多少違っていますが、すべて同じ日、同じ時間に撮影したものです。
かき氷と蚊取り線香
ハイビジョンビデオカメラ HC3で撮影
上の画像は、HC3で撮影したものです。クリックすると拡大されます。
ハイビジョンビデオカメラで撮影した場合、サイズは1440x1080ピクセルになります。
最近では、1920x1080のフルHD規格のカメラも出てきたようです。
ちなみに、スタンダードビデオカメラの場合は720x480ピクセルになります。
先ほど書いたように、この画質のまま動く映像が撮影できるわけですが、見た感じほとんどコンパクトデジタルカメラの画質と変わらないレベルだと思います。
この画質で撮影できるのであれば、コンパクトデジタルカメラを購入するよりちょっと奮発してビデオカメラを買ってしまった方がいいのでは・・・?
一眼レフデジタルカメラ D70で撮影
こちらが一眼レフで撮影した場合です。
まずパッと目に付くのがホワイトバランスに関してですね。
簡単に言ってしまえば、色味ですか。
ハイビジョンの方に比べて、全体的に青みがかかっていて鮮やかです。
そして次に目に付くのが、「ぼかし」ですね。
サッシと窓から外の部分を比べてみてください。
ハイビジョンの方はわりとピントが合っているのに対し、一眼レフの方は完全にぼけていますね。
あとは実物大の大きさまで拡大しないとわからないのですが、コンパクトデジタルカメラとの比較でも差が付いていましたが、一眼レフは細部まで非常にきっちり記録します。
たとえば、植物の葉を写した場合なんかでも、細かい繊維やディテールまできっちりと表現できるのが一眼レフカメラになります。
マクロ 貝殻
上の画像は、ハイビジョンで撮影した貝殻です。
3つの貝全体にピントが合っています。
こちらが一眼レフで撮影した場合です。
50mmレンズを使用してF1.4で撮影しました。
1つの貝の一部にしかピントが合っていない程、非常に強いぼかしがかかっています。
同じレンズでF5.6にした場合です。
F値というのは、レンズの絞りの開放具合を示す値で、値が小さい程絞りが大きく開きます。
このように同じレンズ、同じカメラでもF値を変更するだけでこのような変化があります。
それにしても、一眼レフの最大の魅力はこの強烈なぼかしを撮影することができるか・・・ですね。
これはコンパクトデジタルカメラやハイビジョンビデオカメラも、仕組み上このようなぼかしを表現することはできません。
ぼかしを作るには
ぼかしを表現するには、今挙げた例のようにF値を小さくするのが最も手軽なのですが、このように一眼レフで撮影すればそれだけできれいなぼかしを撮影することができます。
先ほど仕組み上と書きましたが、F値を小さくする以外に、光をとらえるセンサー(撮像素子)が大きければ大きい程、ぼかしやすくなります。
一眼レフカメラは他のカメラと違い、このセンサー(撮像素子)の大きさが全然違うので(面積比で16倍程)、特に意識しなくてもぼかしが得られます。
花
こちらがハイビジョンで撮影した花です。
風が強い日だったので、花も葉も揺れて撮影が大変だったのですが、ビデオカメラは1秒間に約30コマと決まってるため、デジカメでいう1/30秒のシャッタースピードになります。
1/30というとかなり遅いわけですが、このように風が強い日はぶれないようにするには非常に難しいです。
ただし、撮影しっぱなしなわけで、ぶれていないシーンを捜しこのように切り出ししてやればOK。
こちらが一眼レフカメラで撮影した同じ花です。
レンズは50mmでF1.4で撮影しました。
こうして比べてみると、違う花のように見えるぐらい全く違う表現になりましたね。
そして先ほどと同じように、F値をF5.6にして撮影してみました。
F1.4の時は、花びらの一部しかピントが合っていませんでしたが、この場合その後部の葉にもピントが合っています。
かといって、ビデオカメラのように全部にピントが合っているわけではありませんね。
マクロ撮影
今のところ一眼レフカメラの優位点ばかり見てきましたが、実はビデオカメラにも非常に優れた点があります。
1つは、ズームが標準で装備されていること。
コンパクトデジタルカメラにもズーム機能がありますが、一眼レフカメラはレンズ次第。
しかも高倍率なレンズとなると非常に効果になるし、非常に大型のレンズになってしまいます。
ところがビデオカメラのレンズは光学式で8~10倍が当たり前。
デジタルズームも含めると数百倍までズームする機種もあります。
そしてもう一つの優位な点が、上のような写真のマクロ撮影。
実際には、レンズギリギリまで近寄れる程のマクロ撮影が可能です。
コンパクトデジタルカメラにも、2~3cmまで近寄れるカメラがありますが、一眼レフカメラはとてもそこまで近寄れません。
私の持っているレンズでは、クローズアップレンズというアダプターをつけて、ようやく25cmほどまで被写体に寄れる程度です。
このようにマクロ撮影をしたい場合は、圧倒的に効果を発揮してくれるのがビデオカメラの特徴でしょう。
画像加工ソフトを使えば
最後に、画像加工ソフトを使った先ほどのハイビジョンビデオカメラの画像を、ちょっとぼかしがかかった感じにしてみました。