コンパクトカメラ vs 一眼レフ
コンパクトデジタルカメラ 対 デジタル一眼レフカメラ
我々のような初心者カメラマンにとっては、一般のデジタルカメラ(コンパクトデジタルカメラ)を購入するか、デジタル一眼レフカメラを購入するかどうかは、財布の中身(銀行の残高?)と相談するのが一番現実的だと思うんですけれど、スナップ写真(人物等を自然な雰囲気で撮影した写真)や記念撮影ぐらいにしかカメラなんて使わない。とか、年に1回2回程度しか使わない。というのであれば、コンパクトデジタルカメラで充分です。
もしくは、使い捨てカメラの方がずっと安上がりで、なおかつ高画質でしょう。
が、私のように身近なものをマクロ撮影したり、壮大な空の色味をより美しく表現したいというのであれば、迷わず一眼レフカメラをおすすめします。
実をいうと、つい最近まであまりコンパクトデジタルカメラと、一眼レフカメラの画質の違いなんて気にしていませんでした。
ただ、一眼レフカメラは動作の素早さと、わずかな光で明るく撮れる、きれいに背景をぼかすことが出来る。といった理由で、何かを撮影する場合は一眼レフを使用するようにしていましたが、その理由の中に画質は含まれていませんでした。
それどころかむしろ、コンパクトデジタルカメラの方が、色彩の表現力は豊かなぁ。なんて思っていたぐらい。
左の画像は、コンパクトデジタルカメラのcoolpix885で撮影したもの。
そこで、ここではコンパクトデジタルカメラと、一眼レフカメラでどのくらいの画質の差があるのか比べてみようと。
コンパクトデジタルカメラの方は、Nikon coolpix885を。
デジタル一眼レフカメラの方は、Nikon D70を使用しています。
coolpix885 対 D70
ホワイトバランスの違い
左の画像は、coolpix885で撮影したものです。
F2.8でISOを200。シャッタースピードを1/250秒で撮影したものです。
クリックすると拡大表示されます。
撮影条件としては、曇り空の午前中に、窓から50cm程度の距離で窓からの自然光のみの明かりで撮影しました。
左が、D70で撮影したものです。
こちらは、F2.2でISO200。シャッタースピードを1/400秒で撮影したものです。
まず目につくのが、どちらも各カメラのホワイトバランスを「曇天」に設定して撮影したのですが、これだけ色が違ってきていますね。
なお、ホワイトバランスについては、「ホワイトバランスの重要性」を参考にしてください。
コンパクトデジタルカメラで撮影した方は、緑が強くでていますし、全体的に薄い色ですね。
ぼかし
画質とは直接関係ないんですけれど、ビンの口に結ばれたひもを見比べてみてください。
コンパクトデジタルカメラの方は、ひも全体にピントが合っていますが、デジタル一眼レフカメラのほうは、手前の結び目にピントが合っているものの、ビンの口当たりの方にいくに従ってぼやけているのがわかると思います。
「きれいにぼかすには」で詳しく書きましたが、ぼかしに関しては、「F値が小さければ小さいほど背景がぼやけやすくなる」性質があるのですが、F2.8(コンパクトデジタルカメラ)とF2.2(一眼レフカメラ)程度の違いでは、これほどの差は出ません。
つまり別の要素が、この「ぼかしの差」に現れているんですけれど、これはこの後にも述べる「撮像素子」の大きさの違いによるものです。
今回はこれに関しては詳しく書きませんが、こうした差が出てくることを覚えておいた方がいいかもしれません。
明るさ
もう一つは「明るさ」ですね。
F値は、コンパクトデジタルカメラの方がF2.8、デジタル一眼レフカメラがF2.2で、「F値が小さい方がより明るく写る」ので、シャッタースピードが一眼レフの方が速くなることはわかるんですけれど、たった2.8 - 2.2 = 0.6の差でシャッタースピードが1/250秒と1/400秒の違いが出るとは驚きです。
しかも、今回はISOはどちらも200。
どうやらデジタル一眼レフカメラは、より明るく撮影できるようです。
画質の違い
今回の最大の重点は、「画質の違い」です。
最後に画質の違いについてみてみると・・・。
うーん。この2枚の写真だと、どちらかに優劣をつけるのは難しいように思いますが・・・。
どちらもホワイトバランスによる色の違いはあったにしても、画質(粗やノイズ、表現力)に関しては、この2つの写真を見比べてみると、それほど差が生じているとは思えない気も。
この程度の違いであれば、充分ソフトの加工で調節できる範囲ですね。
拡大表示させてみる
上では書きませんでしたが、coolpixの方は、320万画素。D70の方は、610万画素。
有効画素数に関しては約2倍になっています。
多くの初心者カメラマン、もしくは、デジカメすらいじったことがないような人にとってはカメラ選びの最も重要な要素が、この「有効画素数」のようで、カタログでも最も目立つ位置に記載されていますし、カメラについて彼らに聞かれる最も多い質問が「どのくらいの画素数のカメラで撮影したんですか?」という事からもわかります。
左の画像は、上のcoolpixで撮影したものの一部を超拡大したものです。
クリックするとさらに拡大されるので、実際に拡大された画像を見てみてください。
先ほどではわからなかった画質の粗がよくわかりますね。
一般にデジタルカメラは、暗いカ所ほど粗がより目立つようです。
次は、同じようにD70で撮影したものの一部を超拡大表示したものです。
こちらはcoolpixと違ってここまで拡大してもノイズらしいノイズは見られません。
非常になめらかな表現になっています。
ちなみに、どちらもだいたい同じ画像サイズ(coolpixは、2048x1536D70は、2240x1488)で撮影したものです。
どうですか、ここまで拡大してみると全然画質が違ってくるのがわかると思います。
有効画素数の違い?
左の画像を見てください。
同じようにcoolpixとD70で同じ条件で撮影したものですが、遠くに見える建設物を拡大してみると・・・。
左のコンパクトデジタルカメラ(coolpix)では、建設物の輪郭もギザギザになってしまっているし、ノイズが多数発生しています。
また、空も青一色ではなくピンクや別の色が混じったものになってしまっています。
それに対し、右の一眼レフカメラ(D70)の方は建設物の輪郭も特に目立ったギザギザはないし、第一ノイズがほとんどありません。
これらの違いは、2倍の有効画素数によるものなのでしょうか?
撮像素子の違い
詳しくは「CCDとCMOS 撮像素子 とは」でも書いたんですけれど、コンパクトデジタルカメラとデジタル一眼レフカメラの大きな違いの一つに撮像素子の大きさの違いがあります。
一般的なコンパクトデジタルカメラの撮像素子が、6~7.5x4.3~5mmなのに対し、デジタル一眼レフカメラは、24x16mm程あります。
つまり、長さにしてだいたい4倍ほどの違いがあり、面積比では16倍の差があります。
撮像素子とは、光を採り入れるフイルムカメラのフイルムに当たる部分で、この部分が大きければ大きいほどより色に忠実に、そして高画質になります。
つまり、今回、拡大した時にこれほどの差が生じたのは、単に有効画素数が2倍あるかないかの違いというよりは、この面積比にして16倍ほどある撮像素子の大きさによる違いなんじゃないかなぁ。と。
なので、より撮像素子が小さな携帯に付属しているカメラがいくら有効画素数を上げても、それほど高画質を期待できないんじゃないかと思います。
この辺の検証に関しては、遠い未来(?)に320万画素ほどの有効画素数を持つカメラがついた携帯電話(ボーダフォン)を買った時にでも実行してみたいと思います。(笑
もちろん、そういった違い以外にも、それぞれのカメラが搭載したチップの性能もあるかもしれません。
最近のカメラであれば、性能も向上しているはずで、性能が向上 = 色彩力が豊か となるかもしれません。
画質を求めるならば迷わず一眼レフ
こうして隣り合わせに検証してみると、カメラによる画質の違いがよくわかりますね。
最初にも書きましたが、私もこの実験をするまでは、コンパクトデジタルカメラも一眼レフカメラも、有効画素数が300万画素を超えるレベルでは、そう差が出ないだろう。と思っていたんですけれど、蓋を開けてみれば、これだけの差が出たのは驚きです。
今後、ますますデジタル一眼レフカメラを活用していこうと思っていますが、ただ・・・
一眼レフカメラの最大の弱点は、その大きさ。
やっぱりコンパクトで手軽に・・・。なんていう条件が求められることもあるでしょうから、2台のカメラをうまく活用していく。っていうのが一番ベストかな。と。